物語の舞台は21世紀末の金星。資源開発に沸き立ったバルブ経済の崩壊から数年後。ここでは、巨大化した企業グループ「Venus Material Inc.(VMI)」と、大国同士の利害調整機関である「国連治安維持軍」との対立が際立ち、前世紀に「冷戦」と呼ばれていた頃と同じような情勢が広がっていた。
第3テラストラクチャーの郊外に位置する飛行場を拠点にして仕事を請け負う民間のRaidersドライバー、エレア・サウスラインは、危険な業務に就くために武装を許された特務ライセンス保持者だ。ある日彼女は、武装集団に占拠されてしまった研究施設から荷物を取り返してほしいという依頼を受ける。敵の隙を付いて荷物をピックアップしたが、その帰り、武装規制区域において所属不明のRaiders部隊に襲撃されてしまう。救難信号を発信したが、VMIと軍の両者が居合わせた事で銃撃戦に発展。ついには全面戦争に突入してしまう……。
太陽系の第2惑星。軌道半径・直径などが地球に似ているため、「地球の兄弟星」とも言われていた。20世紀後半の惑星調査により、金星に人口の構造物が多数見つかり、また豊富な地下資源の存在も明らかになったことで、各国が威信をかけて金星調査を行うことになる。これは資源難を迎えた21世紀において、金星資源を握ることで国際社会における発言力を強めようとする狙いがあった。金星調査の成果により、地上と宇宙空間を結ぶロープウェー「軌道エレベータ」が実用化されて以後、資源確保の採算が取れるようになったことで、金星の大規模開発が行われるようになった。
金星で発見された大規模構造物一般を指して「遺跡」と呼ぶ。誰が何の目的で建造したかは分かっていない。建造物のサイズや形状が現在の地球文明に通ずるものがあり、超文明を持った古代人による遺跡ではないかという説が真剣に論議の場に上っている。そもそも人類では「誰も」このようなものを金星に作ることなどできず、宇宙人が地球を監視するために作った、という俗説が市民権を得ている。この遺跡の構造には特殊な複合材の類が使われていることが分かっており、軌道エレベータの実用化の決定打となった。そのほか、数多くの未知の技術が埋蔵されていると信じられており、まさに人類総出で、金星と、この遺跡が調査されることとなった。
地球資源の限界に直面していた人類は、金星の資源を求め大規模な開発に着手。金星には遺跡調査を中心とした国連組織だけでなく、資源開発会社「VenusMaterialInc.」が多数の作業員を金星に送り込み、21世紀中ごろには一般市民が通常の生活を行えるほどまで開発が進んだ。莫大な資源を抱える土地に資金が流れ込み、2070年代に入り急激に発展が進んだが、軍事情勢の悪化と金融引き締めによりバブルが崩壊した。これにより経済的・物理的に地球圏から孤立した「金星難民」が数十万人規模で発生している。
技術の進歩により21世紀中盤にエネルギー問題はおおよそ解決されたが、相変わらず地下資源の枯渇問題に悩まされていた人類は太陽系内の他の星の資源に注目した。金星の遺跡周辺に特に豊富に地下資源が存在することが発見され、資源を入手するための開発が進んでいる。これら資源および遺跡自体から得られる成果は多大な権益を生みだし、国連とVMIが権益を巡り対立する事態になっている。
金星の資源開発と遺跡調査のために、莫大な資本が金星開発へ流れ込み、経済が肥大化した。金星資源とは関係がない人達までもがこぞって金星を開発、移住したことで、環境が加速度的に悪化していった。歴史上の例に漏れず、程なくしてこのバブル経済は崩壊したが、自治政府は急激に悪化した治安と残された移民たちに対する対応への苦慮している。
金星内のパワーバランスを調整するために導入された、国連傘下の軍組織。市民からは「治安軍」と呼ばれることも多い。金星は地球のあらゆる国家とは独立した自治地区であるが、完全な国家としての主権を認められておらず、放っておくとどこかの国に支配、および併合されてしまう懸念がある。そのバランスを調整し、無用な紛争を防ぐために、各国の軍や特殊警察部隊をまとめる形で構成されたのが今の治安維持軍である。当初は平和条約的な意味が強かったが、企業グループやマフィア組織が勢力を伸ばし、小競り合いが多発している現代の金星においては、「治安を維持する」という文字通りの役割を果たしている。
ヴィーナスマテリアル社。金星のバブル期からその崩壊の過程において、数多くの企業を買収、統合して巨大化した企業グループ。市民からは「VMI」と呼ばれている。金星開発に当初より関わり、地下資源の採掘加工を行う老舗企業の一つであったが、金星経済を牛耳るとまで言われるほどに拡大した。今では資源とエネルギー開発を筆頭に、自動車、航空機、精密機械、建築、金融、不動産、など幅広いビジネスを手がけている。VMIに一部地域の警察機関が委託されてから途端に高圧的になったことで、嫌う市民も多いが、もはやVMI無しでは金星の生活は成り立たないのは事実であり、自治政府からの信頼は強い。
各国間のパワーバランスを調整することを目的としている治安軍にとって、VMIのような金星の支配者たるものの存在は悩ましい。金星では自衛のためにある程度の武器の所持が許されているが、VMIの警備部隊はその限度を超えており、近年は治安軍との対立が激しい。VMIが支配する警察組織の管轄区域の外側を「武装規制区域」と設定することで、拡大を抑えているが、これはVMIの軍備の容認にほかならず、この武装規制区域を境に2勢力がにらみ合うという、現代金星の軍事状況の構図を生むきっかけとなった。
「地球に酷似」とはいえ、そのまま地球人が生息するには金星はあまりにも過酷である。住環境を調整し、また効率的に資源生産を行うために、巨大建造物「テラストラクチャー」が金星全土に5箇所存在している。このうち大半は「遺跡」の構造をそのまま使用している。 人類はテラストラクチャーを中心として、周囲に資源採掘場や遺跡調査基地、各種交通機関などを建設している。
金星にはウォッチドッグと名づけられた、攻撃性の機械生命体が存在する。それほど頻繁に見られるものではないが遺跡の周囲に出現することが多いことが分かっており、遺跡調査や資源開発の障害となっている。ウォッチドッグの襲撃から身を守るため、金星で活動するにはある程度の武装が必要である。
開発当初は地球から見て「宇宙の外」であった金星には部外者が入る余地が無く警備員すら必要なかったが、軌道エレベーターの実用化に伴う大量移住が本格化する頃には状況が一転した。テラストラクチャー内部における経済格差や違法労働者問題などが表面化し、それに伴い治安も急速に悪化した。金星においては機械生命体ウォッチドッグから身を守るために武装が許可されていたが、治安の悪化に伴い国連・VMIがともに武装を増強し始め、互いの武力を脅威に感じて次第にエスカレート、冷戦状態にまで発展している。
冷戦状態となっている国連とVMIはそれぞれ陸海空の兵器を所有し、軍隊と呼べるレベルまで規模を拡大している。ただし表面上は科学技術調査が目的である国連と、一民間企業であるVM社は、冷戦状態とはいえ大々的に武装がしにくい事情がある。そこで、民間人から「登録ドライバー」を募り業務委託契約を結ぶことで、非公式ながらも傭兵として抱えている。
日本語で「急襲機」と訳される超小型のジェット戦闘機。 21世紀に入り、兵器の主目的が国家間の大規模戦争から、市街地や山岳における民兵とのゲリラ戦に移るに従い、従来の兵器では対応が難しくなっていった。そのような環境において必要とされる兵器の要件を満たすものとして、Raidersが開発された。Raidersは超音速飛行や超長距離ミサイルの搭載などの性能を捨てる代わりに、圧倒的に小型で、簡易に運用できるように設計された航空機である。
R-10やR-27など、機種番号が概ね「R-xx」となることから、「レイダーズ」を略して、単に「R(アール)」と呼称することも多い。
機種にもよるが、Raidersの航続距離は最大でも数千キロメートルと短い。そのため紛争地域近くの空港、または駐屯地などで運用できるように、簡単に整備や運用が出来るように工夫されている。満載時でも重量が4トン程度と軽く、高速道路で離着陸が可能である。また、荒地でも離着陸できる特殊な車輪なども開発されたことで、ブルドーザーさえあればどこでもRaidersの基地として使用することができる機種も存在する。
Raidersはさまざまな面で、戦闘機というよりはヘリコプターや装甲車などの運用に近い。そのため、空軍ではなく陸軍の所属となっていることが多い。
Raidersの主な搭載武器は機銃及び小型のミサイルである。入り組んだ市街地、山岳や密林に潜む敵を見つけ出して攻撃することが目的であるため、原則として目視範囲内での戦闘となる。機体サイズに比較して口径の大きい機銃が搭載されており、ミサイルではなく銃弾で敵部隊を攻撃することも想定されている。 戦闘時の速度は概ね300km/h程度と低速であるが、敵兵士の眼前を飛行するため、機関砲や携行ミサイルの反撃を回避するには十分な速さである。これは従来のヘリや戦車にはなかった利点である。 無線通信を介して兵器統合システムと高度な連携を行い、敵と味方を自動的に認識することが出来るため、レーダー手は不要であり、原則としてパイロット一人で搭乗する。
また、Raidersには当時の兵器で当たり前であったステルス設計が行われていない。しかし目視できるほど低空で飛行するために、レーダーに映らないことはあまり意味がない上に、幅10mにも満たない小さな物体であるため特別な設計を行わなくてもレーダーに映りにくい。そもそもRaidersが主に想定するのは民兵相手のゲリラ戦であるために、防空レーダーの対策を考慮する必要がなかった。
Raidersの大きな開発趣旨として、航空兵器の大胆なコストダウンがあった。コストダウンのために原則として民間機と同等の部品を使い、またその他装備品も民生品を多用したことで、一般の小型ジェット機程度のコストで製造することが出来るようになった。 コストが下がったことで、軍だけでなく、警察組織でも使用されるようになり、量産効果でさらにコストが下がるという循環を呼んだ。また、Raidersの仕様は、民間企業における観測用途や富裕層のレジャーとしても適しており、武装を除いた民間仕様のRaidersも多数販売されている実績がある。
Raidersの操縦者のことを、「パイロット」ではなく「ドライバー」と呼ぶことがある。由来は諸説あるが、民間企業がRaidersを導入する際に、既存の航空機とはライセンス体系が異なるRaidersのパイロットを区別するために、こう呼び始めたというのが通説である。
テラストラクチャーおよび遺跡の内部を飛行できる乗り物としてRaidersが利用されている。地球での市街地を想定して開発されたRaidersだが、入り組んだ構造物を飛ぶという点では、金星でも同様の利点が見出されている。民間においては非武装仕様が中心であるが、ウォッチドッグから身を守るために、特殊な免許講習を受講することで、武装を施したRaidersを所持・使用することも許されている。
ドライバーネームは「SONIC-VINUS」。3歳のときに父親と共に金星に移住した。調査・運送などの非武装業務だけでなく、犯罪組織との戦闘などの武装業務も請け負う「何でも屋」の特務ドライバー。治安軍の登録パイロット。治安軍トップドライバー兼航空エンジニアだった父親、ジョージ・サウスラインの情報を探している。 |
主人公の従姉妹、普段は姉として接している。留学のために金星に移住したが、現在は自宅兼職場であるノースサイト飛行場で、管制業務およびオペレータを勤める。エレアの戦闘任務においては、戦術管制も担当する。その一方で、実は超一流のハッカーでもあり、エレアの仕事を情報戦においても支えている。紅茶収集が趣味という一面もあり、時々エレアを使い走りにして紅茶を集め、基地の一室にコレクションを置いている。 |
ジョージの友人で、治安軍の元整備士。高い技術を持った航空・車両技師として信頼されていた。ジョージの失踪後、早期退職してエレアたちの住むノースサイト飛行場の運営を守ると同時に、保護者としてエレアを支えている。 |
(no images) |
エレアの父親で、リサの叔父にあたる。治安軍のパイロットであったが、5年前に仕事中の事故により行方不明になっている。軍は事故について一切の情報公開を拒絶しており、安否や失踪場所など何も分かっていない。 |
民間のRaidersドライバー。専ら武装任務を請けている『傭兵』。このようなドライバーは対人特定攻撃業務、つまり暗殺であってもためらい無く請け負うと言われている。金星の闇の権力構造を維持する上で必要不可欠な存在として、企業や政府が彼らを使っていることは公然の秘密である。 |
同じく民間のRaideraドライバー。金星生まれ金星育ち。サイと共に仕事をしている。Raidersドライバーは仕事柄、敵同士になることがあり、あまり同業者間での交流を好まない。そのためドライバー個人については、よくわからないことが多い。 |
CPU内蔵のIntelHDグラフィックス3000もしくはDirectX10以降の世代のビデオカード
4GB以上のメモリ
ゲームパッドもしくはフライトコントローラの使用を強く推奨
OculusRift(DK2)にも対応。
CD-ROM1枚(DVDケース入り)
解説書「RaidersSphere4thワールドガイド」同梱(36ページフルカラー)
価格2000円(委託手数料の違いにより若干加減する場合があります)
RaidersSphere4thオリジナルサウンドトラックも同時発売。
CD2枚組み(プラケース入り)
イベント販売価格1200円
RaidersSphere4thとセット販売3000円
(委託手数料の違いにより若干加減する場合があります。初回ロット完売後は単品で1500円となります。)